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少年と小さな命 〜ペットとの別れが教えてくれたこと〜とそ動物霊園

少年と小さな命 〜ペットとの別れが教えてくれたこと〜

おそらく中学生くらいの少年だったでしょうか。

その子は小型犬とのお別れに家族四人で来園されました。

選ばれたのは合同火葬プランでした。

ご焼香のあと火葬は霊園に一任し、後日合祀墓へ埋葬するという流れです。

少年は顔を赤らめながら涙をこらえ、愛犬との別れを惜しんでいました。

家族の中でいちばん悲しみが深く伝わってきたのを覚えています。

数日後には合祀墓の方にワンちゃんいらっしゃいますので、また会いに来られてくださいね。

そう声をかけると、少年は小さくお辞儀をして「よろしくお願いします」と答え、その日は静かに帰っていきました。

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唐湊の坂を登る少年

それから一週間ほど経ったある日のことです。

私は買い物の帰り、車で唐湊の坂を下っていました。

ふと前方を見ると、あの少年が自転車を力いっぱい漕いで坂を登ってきていました。

お墓参りに来たのだろうな。

そのときはそれくらいにしか思いませんでした。

この霊園ではそんな光景は決して珍しくありません。

唐湊の坂は涼しい季節でも登れば汗ばむほど長い坂です。

少年はどこか期待に満ちた表情で懸命にペダルを踏んでいました。

きっと合祀墓で安心を得て帰るのだろう。

そう思いながら私はそのまますれ違いました。

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そして坂の下で見た光景

しかし帰り道、再びその少年を見かけました。

今度は自転車の荷台に座り、肩を落としてうなだれていたのです。

きっと坂を登りながら、また会えると思っていたのでしょう。

でもそこにあったのは冷たい御影石の合祀墓。

十代前半の多感な心には、その静けさがもう会えないという現実として突き刺さったのかもしれません。

その日、少年はいつのまにか唐湊を去っていました。

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少年が教えてくれたもの

年が明けてしばらくして、偶然その少年を再び見かけました。

その姿は以前よりもずっと大きく、落ち着いた印象でした。

もうあの日の涙はありませんでした。

愛する者の死を受け入れるのはとても難しいことです。

けれど、人はそうした経験を通して少しずつ生と死を悟り、静かに大人になっていくのだと、あの少年を見て感じました。

とそ動物霊園では、毎日のようにさまざまなお別れの光景があります。

 


 

 

❏ 鹿児島市動物愛護管理センターで亡くなった犬猫火葬業務委託

❏ JA鹿児島県経済連ペット葬儀提携施設

 

人も動物も大切に供養したお殿さま 島津義弘公菩提寺 法智山 妙円寺

慈愛の丘とそ動物霊園

 


記事:伊藤憲秀@kensyu_ito